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「ブッシュとオバマと麻生」(平成20年12月コラム)

2008年12月1日
連載:Mr.Ishikawaの時事コラム
「ブッシュとオバマと麻生」(平成20年12月コラム)

 日本では麻生首相が誕生、アメリカではブッシュ氏からオバマ氏へ大統領が代わることになった。
 「名は体を表す」という。そこで、名前の音読み連想のお笑いを一席。ブッシュ氏のフルネームは「George Walker Bush」である。「Bush」を日本語読みすると「藪(やぶ)」となる。ブッシュ氏は「ヤブ医者」ならぬ米国史上最悪の「ヤブ大統領」だった。
 核兵器がないのに「ある」と言い張りイラクに侵攻しりフセイン政権を倒したまではよいが米国兵に4000人の犠牲数を出し核兵器は見つからず、環境問題研究者に圧力をかけ発言を封じ地球温暖化問題を放置し、サブプライムローン問題で世界経済をどん底に突き落とした。
 一方のオバマ氏のフルネームは「Barack Hussein Obama,Jr.」である。
 「Obama」を日本語読みして思いつくのは福井県「小浜(おばま)」市だ。 NHKの朝ドラ「ちりとてちん」でおなじみの若狭湾の都市だが、当市はキャッチフレーズで「心やすらぐ美食の郷」を掲げている。
 オバマ氏が果たして「心やすらぐ米国」にしてくれるかどうか。それにしてもミドルネームに「Hussein(フセイン)」があることは、イラクのフセイン大統領のブッシュ氏への怨念を感じてしまう。
 そして、日本の麻生首相。
 歴代の日本の総理大臣は「ロン・ヤス」(レーガン大統領と中曽根首相)、「ジョージとジュンイチロー」(ブッシュ大統領と小泉首相)と呼び合うように共和党の大統領とは個人的に親密な関係をつくった。 だが、オバマ氏は民主党である。 まして日本では同名の民主党との激戦となる国内総選挙が待っている。 オバマ大統領勝利の知らせを受けた麻生首相は「あっ、そう(麻生)」と素っ気ない反応だったとか、そうでなかったとか…。
 短期間にコロコロ変わる日本の首相は困ったものだが、任期中に辞めてもらいたくてもできない米国大統領制度も困ったものだ。

 悪ふざけはこれぐらいにして次は真面目な話。
 オバマ氏の選挙勝利は多分にブッシュ氏の失政による“敵失”によるところが大きい。
 なぜならオバマ氏が選挙戦の演説で多用した言葉「Change(変革)」と「Yes We Can(そう、われわれは出来る)」は、ブッシュ失政を変えることであり、それが可能だと訴えたからだ。
 その演説は、現状を正確に認識し、分かりやすく訴える手法と能力から生まれている。
 政治家、リーダーに不可欠な資質を備えていたのだ。冷静沈着な語り口でありながら、聴く人の心を打ち、聴いた人々が勝手に高揚しアクションへ向かい、選挙活動を支えるボランティアとなり選挙資金集めに奔走するエネルギー源になった。
 「ケネディー以上」と評される演説だった。日本にこのような演説ができる政治家がいるか。日本ではオバマ演説集のDVDがよく売れているらしい。
 このような新大統領を擁するアメリカと日本とは今後どんな関係になるのか。
 オバマ氏は当選後、麻生首相に電話したという。麻生氏は「誰が大統領になろうと50年以上の長きにわたり培ってきた関係を維持していく」と語った。
 確かに日米関係は基軸であろう。
 だが、オバマのアメリカは確実に変わるのである。
 麻生発言はあまりにもノー天気ではなかい。 変わるアメリカにどう反応すべきか、心構えだけでも聞きたかった。
 そして、現状をしっかり認識しているのかも疑わしい。 麻生首相が景気対策として定額給付金支給を打ち出した。 民主党が掲げていた農家への直接支払いを「バラマキだ」と非難したのを忘れたように公明党に尻を叩かれ公費をバラマクのである。
 地域振興券の時も同じだが景気対策としては場当たりで持続的効果はない。 筆者も年金生活で暮らしは苦しいし、年金制度がいつまでもつかも分からず不安だし、「くれる」ものはもらいたくなる。
 だが、何より給付金の原資は税金である。 もらったものを返すため税金が増えることは分かっており、納める資金がその時あるかどうか分からない。
 なにしろ国と地方とを合わせ1,000兆円を超す累積債務を抱え、国も地方も返済できないところへ追い込まれている日本なのだ。 案の定、朝日新聞の世論調査では定額給付金について「必要な政策」26%、「そうは思わない」63%という国民反応であった。
 国民は選挙目当ての機嫌取り政策であることを見透かしている。 国民を鼓舞する演説ができるオバマ氏の現状認識、思考方法を見習うことを麻生首相に進言したい。ブッシュ氏のように後世に悪名を残さないために…。

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