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避難者支援センターおいで

 東日本大震災発生から3ヵ月後の、2011年6月6日に新設された「避難者支援センターおいで」。現在は米沢市金池の置賜総合文化センター2階に場所を移し、避難者の相談窓口や情報提供などを行っています。今回は事務長の上野寛さんにお話をお伺いしました。(取材:本間 明子)
やまがた避難者支援団体 活動インタビュー Archive number 005
避難者支援センターおいで
ひなんしゃしえんせんたーおいで

避難者支援センターおいで プロフィール

事務長 上野 寛(うえの ひろし)さん

2011年6月6日「避難者支援センターおいで」を設立。現在は米沢市金池の置賜総合文化センター2階で、避難者の相談窓口や情報提供などを行ってる。

■避難者支援センターおいでの問合せ先

〒990-0012 米沢市金池三丁目1番14号(置賜総合文化センター2階)

TEL 0238-26-8003 FAX 0238-26-8032
営業時間 午前9時~午後5時15分(月~金曜日)土・日・祝日・年末年始は休館 
Eメール yoneoide(アットマーク)omn.ne.jp アットマークを@にしてお送りください
HP http://yonezawanet.jp/oide/

米沢での暮らしを支えるために
支援活動の経過
2011年
6月6日

・米沢市万世コミュニティセンターに新設

2012年
4月1日

・置賜総合文化センター2階(米沢市金池)に移転

<上野> 「避難者支援センターおいで」が新設されたのは、震災発生から約3ヵ月後の6月6日でした。避難所として使用していた米沢市営体育館が5月に閉鎖し、避難者は市内各地の借り上げ住宅へ移住することになったのですが、その際、最も多くの避難者が居住したのが、米沢市万世町にある雇用促進住宅。これを受け、米沢市が避難者支援の拠点を作ろうと、万世コミュニティセンターに「避難者支援センターおいで」の設置を決めたのです。

 新設当初、すぐに取り組まなければならなかったのは、避難者数の実態把握でした。現在は、多くの方が避難者登録を済ませてくださっていますが、当時は体育館から市内各地に点在して住むことになったので、何人の避難者がどこでどのように暮らしているのか、という実態を把握することが本当に困難でした。

 また、米沢市は積雪も多いので、大雪に慣れていない避難者が冬の時期に向けた準備を進めることも大きな課題でした。協力し合って除雪を行うためには、自治会の立ち上げの重要性が急務だと感じ、米沢市・おいで・避難者の発起人と打合せをしながら2011年12月に、万世・八幡原宿舎の自治会ができました。(牛森宿舎は自治会が存在していました。)

 そうした日常生活の基盤作りだけでなく、避難者同士の交流の場、情報交換の場の提供も大切な取り組みでした。万世コミュニティセンターでは、「おいで」が新設される前から、米沢市のボランティアの方が「お茶会」を主催してくださっていました。代表の石田さんと澤田さんを中心に、本当に温かいサポートをしてくださって、お茶会は避難者の心の拠り所になっています。現在も「きっさ万世」という名前で続いていますが、「おいで」では、他の支援団体の皆様と協力させて頂きながら、その運営のサポートなども力を入れています。
心が通うお茶会「きっさ万世」のお知らせ
心が通うお茶会「きっさ万世」のお知らせ
センターではイベント情報や行政からの情報を随時提供している
センターではイベント情報や行政からの情報を随時提供している
福島の新聞の閲覧も可能
福島の新聞の閲覧も可能
 
避難生活の長期化。心のケアの重要性

 センター新設当時は、避難者支援制度や借り上げ住宅のこと、米沢市や置賜管内で子育てをする上で必要な情報を求めるといった相談が多く、平成23、24年度は合わせて延べ2万人あまりの方が来所していました。当時は米沢市内の避難者数もピークで3895名。現在は892名となり3000人ほど減少しているわけですが、現在も延べ7500人余りの方が来所しています。

 最近顕著なのが、精神的な不安を訴える相談です。お話を伺っている私たちも胸がしめつけられるほど深刻な問題を抱えている方も多く、避難生活の長期化により、心の負担が増加していると感じています。

 この状況を受け、昨年度は米沢市や各団体と連携し、避難者の自殺防止に取り組む活動をスタートしました。電話や直接訪問して話を聴いたり、小・中学校と連携していじめの実態などの情報共有、また生活困窮者が確認できた場合は、社会福祉協議会に連絡し、食料支援などを依頼、また子どもへの虐待やDVなど、精神的不安などによる家庭の問題に対しては、状況に応じてシェルターを手配するなどの対応を考えています。月に1度は関係団体との定例会を必ず開き、情報の共有を図っていますが、支援を急がなければならないときは、その都度緊急会議を開き、早急な対応にあたっています。

女性スタッフも多く、温かい雰囲気のセンター
女性スタッフも多く、温かい雰囲気のセンター

 現在の住まいにいつまで暮らすことができるのか、逆にいつまでこの暮らしをしなければならないのか。父親が福島に単身で残って仕事をし、離れて暮らしているというケースも多く、4年半が過ぎた今、先が見えない不安・精神的な疲労が蓄積している状況です。センターに訪れる方の相談時間も長時間に及ぶことも多く、心の負担の解消が急務だと考えています。私たち職員も心のケアに関する知識をより多く得るために、講習会に参加するなど少しでも皆さんの力になれるよう努力しているところです。

 
支援団体の輪

 「おいで」では、支援に関する情報提供やサポートのほか、避難者の方々の元気につながればと、毎週曜日に応じて様々なイベントの場を提供しています。そのほとんどが関係団体が主催してくださっているもので、すっかり定着してきています。

 まず水曜日は、生活クラブ/結のきを支える会の皆さんによる「きっさ万世」。こちらには、多くの方が足を運び、避難生活の中で日ごろ感じる悩みや、子育てに関する情報交換をする場として、重要な役割を担っています。

 木曜日は、やまがた育児サークルランドさんが主催する「ままカフェ」。ここにも多くの子育て中のママが集まり、情報交換を行っています。同じく木曜日(月1回)はコープよねざわさんが主催する絵手紙や押し花体験教室「華の会」そして、金曜日(月1回)は米沢友の会さんが主催する「野の花交流会」。この他にもたくさんの支援団体の方が随時様々なイベントを企画してくだっています。

年々参加者が増え、にぎやかになるクリスマス会
年々参加者が増え、にぎやかになるクリスマス会

 「おいで」としては、年に1回のクリスマス会を主催しています。今年も12月に万世コミュニティセンターで開く予定ですが、初年度は3~4世帯だった参加者も、なんと昨年は200名を超えました。クチコミで広がっているということで、とても嬉しく感じています。

 そして去年のクリスマス会には感動的な出来事がありました。避難者のママたちが、クリスマス会当日、家族や周囲の皆さんへ日頃からの感謝の気持ちを伝えたい、とフラダンスを発表してくれたのです。クリスマス会本番までの間に25名ほどのメンバーが集まり、先生を招いて練習を積んできました。

クリスマス会ではボランティアによる楽しいステージも
クリスマス会ではボランティアによる楽しいステージも

 感謝の想いがいっぱいつまったフラダンスのステージは、クリスマス会を華やかに彩ってくれたのは言うまでもありません。想いが伝わり、笑顔いっぱいのステージになりました。そして、せっかくできた機会を大切にしよう、と現在もサークルとして活動が続いていて、あらたな交流が生まれています。

 他にも多くの支援してくださる団体の皆様や先生方からは、「避難をされている方々から逆に力をもらえる」という言葉をかけていただき、本当に感謝してもしきれない思いでいっぱいです。

 「おいで」の職員4名も全員、福島県から米沢市に避難している避難者です。私たちも自身の生活に対する不安を抱えながら暮らしていますが、職場にきたらとにかく笑顔。「おいで」に来てくださった方を明るく温かく迎え、仕事を通して自分たちも楽しく過ごそう!を合言葉にがんばっています。

 女性が多いセンターですので、皆様ぜひお気軽に「おいで」ください。

〈取材:2015年9月7日〉


 取材を終えて
本間 明子

 取材後の雑談の中で事務長の上野さんがおっしゃっていた言葉が忘れられません。「国や県、市の担当者と意見交換会などを行うたびに、私は声を大にして原発事故を収束させるための法整備の早期実施を要望しています。何も躊躇することはありません。私のうしろには、たくさんの避難者の方々がいらっしゃるのですから。私は、みなさんから寄せられる声をしっかりと伝える役割を、担っているのですから…。」

 地震は自然災害。しかし原発事故は…。第二の福島を作らないために、これからも訴えかけていく、とおっしゃる力強い目をみて、胸が熱くなりました      

本間 明子

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