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NPO法人やまがた育児サークルランド

山形市内に拠点をおいて活動している『NPO法人やまがた育児サークルランド』。保育や育児相談、各種講座なども開催しています。震災後は福島から避難されている家族のための『ままカフェサロン』をはじめとして、各サロンなどを開催中。今回はスタッフの一人、三河悦子さんにお話をうかがいました。
やまがた震災支援活動アーカイブ Archive number 007
NPO法人やまがた育児サークルランド
やまがたいくじさーくるらんど


三河悦子さん 三河悦子さんのププロフィール
 山形市出身 北海道の幼稚園に12年勤務し、6年前に山形へUターン。山形市七日町にあるNANA-BEANSに開設した施設『子育てランドあ~べ』勤務、市内公民館などの親子行事などに携わる。震災後は主に避難者支援事業スタッフとして、各施設での企画運営などを担当。現在は、当団体の委託運営の保育所にて勤務。

NPO法人やまがた育児サークルランド
〒990-0042 山形市七日町4丁目7-18-1号
Tel:023-673-9336 Fax:023-673-9337
受付時間:月~金 9:00~17:00(祝日・年末年始を除く)
http://ikuji-land.jp
http://blog.canpan.info/land-hinan/
※写真は三河悦子さん(左)


支援活動の経過
2011年
8月 ままカフェサロン(山形)をオープン
4月 山形市あかねヶ丘にままカフェhomeをオープン
4月 米沢市において、ままカフェサロンをオープン
9月 山形市東原町に福山ひろばをオープン
* 各サロンの活動の様子は、ブログで紹介しています。
http://blog.canpan.info/land-hinan/archive/2
避難訓練の大切さ
〈三河〉  当団体は野口比呂美代表が、各地で活動している育児サークルのネットワークづくりを目的に、平成10年3月『やまがた育児サークルランド』として発足したのが始まりです。平成14年に山形市の助成を受け、託児サービスを行なう『子育てランドあ~べ』を開設し、翌年『NPO法人やまがた育児サークルランド』になりました。子育てしやすい地域づくりをめざし、託児や育児相談、ママたちのための講座の開催などを行なっています。
 震災当日は、私も『あ~べ』の施設に勤務中でした。携帯電話から聞いたことのない警告音が数回鳴って「え?なに?」と思っていたら、ぐらぐらと大きく揺れ始めたんです。同じフロアにある『やまがた伝統こけし館』に陳列してあったこけしがバラバラと倒れ、『高齢者交流サロン(26年1月からは3階に移動)』を利用していた方々も驚いていました。あまりの強い揺れにかなり不安になっていた方もいましたが、こちらはビル全体で年1回大きなものと、当施設単独でも毎月1回避難訓練を行なっていたので、即座に靴を集めて広場中央に集まる、避難経路を確認し迅速に避難を始めるなど、スタッフは落ち着いて行動することができました。日頃から訓練をしていて本当に良かったなーと感じます。

 この日は親子で来ていた方の他、託児でお預かりしていたお子さんが数人いたので、安全を確保しながら全員で1階まで階段を降りていきました。その後は自分の家族が入院していた病院へ行ったのですが、街全体やテレビで報道されている様子のように、かなり緊迫した状況になっていたのを覚えています。


さまざまなサロンをオープン

福山ひろば[夏まつり]でのピンゴ大会。大人も子ども大いに盛り上がりました。

 『あ~べ』 があるビルの上階がビジネスホテルだったこともあり、急遽避難されてホテルに宿泊しているお子さんにおもちゃの貸し出しをしたり、ひろばの再開、買い物する場所や小児科や歯科といった病院等の施設などの情報提供を行いました。
 その後山形に避難していらっしゃる方が増え、借り上げ住宅やアパートなどに引っ越しをする方も増えました。同じ立場のお母さん同士がつながりを作り孤立感を解消できるよう、またお子さんがのびのび遊びながらお母さん同士もゆっくり話をしたり友達を見つける環境も必要だと感じ、心を分かち合える場所として、避難されている親子を対象にした『ままカフェサロン』をオープンすることにしたんです。

 現在の『ままカフェサロン@山形』は山形市内各地の公民館を借りて、午前の部は親子で身体を動かしたり、音楽や物づくり、子育てに関するミニセミナーなど、毎月プログラムを考えて開催しています。お昼12時から15時までの午後の部はフリープログラムサロンで、お子さん達には用意したおもちゃで遊んでもらい、ママたちはおしゃりしながらゆったり過ごしてもらうようにしています。お弁当持参で1日のんびりと過ごされていく方がほとんどです。
 米沢市は福島県に近いこともあり、多くの方が避難されているため、翌年には『ままカフェサロン@米沢』をオープンしました。地元有志の方やボランティアの方のご協力をいただきながら、ゆっくりおしゃべりできるサロンやヨガ、アロマ講座などを開催しています。


講師の方による、セルフケアマッサージの様子。アロマの香りに包まれた、癒しのひと時になりました。

 3つめは『ままカフェhome』です。避難生活が長くなることで悩みや心配も変わっていきます。また、大勢の人が集まるようなサロンに一歩踏み出せない方もいらっしゃいます。そこで、一軒家をお借りしての常設のひろばを開設しました。昔ながらのおうちが持つアットホームな雰囲気を大切にしながら、山形市内の西側の拠点として機能しています。定期的な事業として行なっているのが、臨床心理士さんによる個別の相談、助産師さんや歯科衛生士さんの健康相談。その他クラフトテープの工作やアロマハンドクリーム作り、お子さんの宿題をお手伝いするミニ寺子屋の日なども開催しています。ちなみに1月は、歯科衛生士さんによる歯の生え始めと離乳食についてのミニ講座を取り入れたお茶会など、子育てに関する悩みを気軽に打ち明けながら過ごせる企画も予定しているところです。


福山ひろば[夏まつり]での流しそうめんの様子。一軒家の広い庭で流しそうめんに大はしゃぎ!

 また、2012年9月より東エリアの拠点としてオープンしたのが『福山ひろば』です。“福島の人と山形の人がつながる場所になってほしい”という願いを込め、福島と山形から一文字ずつとって、この名前にしました。こちらは避難されている方だけでなく山形に住んでいる方にも開放し、お母さん同士の交流の場所として利用してもらっています。住宅地の中にある一軒家なので、ご近所のおばあちゃんがお孫さんを見るような気持ちで遊びに来てくれたり、果物を差し入れしてくれたり。冬はご近所の方が雪はきを手伝ってくれたりと、スタッフも地域の方々のあたたかさを日々感じながら過ごしています。
 こちらも一軒家の広々とした作りで庭木も立派なおうちです。また、台所も広めなので、みんなで料理を楽しむことができます。ここで出会ったお母さん同士が福島と山形の郷土料理を紹介しあったり、夏場はプランターで野菜を育ててお昼に食べてみたり。最近は毎週火曜日を「すーぷの日」とし、週替わりで登場するスープでランチタイムを開催しています。「ここだと子どもがよく食べるんです」っておっしゃってくれるお母さんもいて、みんなで美味しいものを作ったり、楽しくテーブルを囲むって大事だなって思います。
 その他、小さいお子さんを持つママだけでなく、小学生のお子さんを持つママたちの情報交換の場として、滝山交流センターでは『サロンinたきやま』も開催しています。ここでつながりができ、元気に山形での生活でやりがいを見つけている方もたくさんいるんですよ。


体験型、話し合える機会を

福島のママの声で立ち上がった活動[mazaっぺ わ](まざっぺわ)のママやおばあちゃんの手縫いの雑巾

 避難されている方のニーズは経年と共に変化しています。そういったニーズを拾いながら、震災直後は物資の提供を中心としながらつながり作りの場となったサロンでしたが、今は内容も変わっています。遊びを通して親子で楽しめるものだったり、やってみたいことのアイディアを出しあってみたり。お客様ではなく一緒に作っていく楽しさを大切にしています。どんなものがいいかな?と毎月いろいろな講座や遊びを考えるのですが、体操の先生をやっていたスタッフもいますし、私も北海道時代に覚えた遊びが役立っています。そんな風に自分たちの持ちネタを持ち寄りながら、みんなで頭をひねって企画しています(笑)
 現在のスタッフは専従の7名の他、育児サークルランドのメンバーだけでなく、参加者であるお母さん自身もお手伝してくれています。最近の大きな活動としては、2月に開催される樹氷国体で来場された方に配るエコバックプロジェクトを担当したこと。芸工大の学生さんからデザインのアドバイスをもらい、果物、つや姫、きてけろくん、縄文の女神など山形を表現する20パターンの消ゴムハンコを200個作成し、1つ1つみんなでバッグに押していきました。福島と山形のお母さん、地域の方が一緒になって作業し、3ヶ月かけて目標の10,000枚を完成しました。


@home手作りの日の、[クリスマスの制作]の作品。

 これから、山形で避難生活を続ける方、福島へ戻る方、家族で別の土地へ移住する方など選択はさまざまある中で、これからもほっとする時間や空間、日々の中での元気をここで持てるような場になれたらいなと思っています。

〈取材:2014年1月〉


 取材を終えて
浅倉かおり
不安な気持ちや心配ごとは、誰かに話すだけで不思議を軽くなります。たくさんの人と交流したい人、個人的にお話をしたい人、それぞれの気持ちに寄り添った複数のサロンを提供している点がすばらしいなと思いました。
おじゃまさせていただいた福山サロンは一軒家をお借りしているので、近所のお友達のおうちに遊びに来ているよう。取材中もご近所の方が「食べて?」とおやつの差し入れを持ってきてくださって、とてもなごなごした雰囲気。地域の方との交流も、大きな支えになっているそうです。
浅倉 かおり
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