このページを印刷する

すずき・ゆかり

2008年1月2日
きものは着るたび・・・ あなたがデザイナー・・・ 帯びあわせ・・・ 半衿選びに・・・
帯の位置・・・ 帯じめ帯あげ・・・ きものの楽しみ

 私の活動のテーマは2つ。「大好きな事を仕事にしたい。」「きものを着る楽しさを伝えたい。」着物姿でフランスの街を歩く夢がある。フランス語を学び始めた私に、パリは逃げないからゆっくり進んで行きましょうと、ラテン語のことわざ“Fastina Lente”という言葉をプレゼントしてもらった。ゆっくり急げという意味だという。何事もそのように焦らないで着実に進んでいきたいと思っている。
*鈴木ゆかりさん
鈴木ゆかりさん 撮影:佐藤ケイジュ

「きものプロデューサー」 鈴木ゆかり

  着物には憧れるけど、高価で、難しそうで、到底私には縁のないもの。ずっとそう思っていました。
でも、想い続ければ願いは叶うものらしく、今では着物を着たいと思った時には着物を着ることができるようになりました。それは、自分の為に誂えたり、欲しいものをすぐに手に入れられるというような経済的に余裕ができたからというわけではありません。手元にある着物を喜んで着ていたら、少しずつ着物が増えてきたからです。始めはとても大変だった着付けも、慣れると早くなってきます。完璧じゃない着付けであっても自分を許せる余裕ができたり、直し方を覚えたりもします。着物を着始めると、少しずつ着物の知識もついて来ます。もちろん今も勉強中でわからない事もいっぱいありますが、着ていれば、教えてくれる人も現れます。しまってばかりおくのはもったいないからと、譲っていただくこともあります。奇跡が起き続けているように感じます。

 始めに普段着物として着ていたのは、祖母の形見の着物です。布屋さんから買って来た普通の布地で帯を作ったり、半衿も綺麗ないろいろな布をくっつけてみたりするのが面白いと思いました。
時々、祖母は、あるいはこの着物を持っていた人は、どんな気持ちでこの着物を選んだのかなぁとか、どんな時にこの着物を着たんだろうかなどと考えてみたりします。染め替えて仕立て直したり、いくつも繕った跡のある着物をみると、大切にしていた思いが伝わってきます。
帯を自分で作って良いなんて、溜め息をついて着物雑誌を見ていた時には想像もしませんでした。
着物って、作りはみな同じなのに、組合せや着付けで風情が全く変わるんですよね。だから、アートだと思うんです。だから、着物を着る「あなたがデザイナー」なんです。そこには、最低限度のルールはあると思います。でも、間違うことを心配するより、間違いながら覚えていけばいいのではないでしょうか。

松江にてワークショップ

ホイアン祭りの様子 撮影:普後邦夫

 完璧に着物を着ようと思ったら、私は一生着物を着られないかもしれない。今の自分の位置で、無理をしないで着物を着ることを楽しむ。その中で大切にしている事は、教えてくださる人の話はきちんと聞こうという姿勢を持つことです。
組合せで風情が変わるというのは、何となく想像がつきますよね。着物や帯の格を合わせるというのはルールとして、半衿、帯、帯締め、帯あげを変えればイメージが変わりますね。ほら、洋服の感覚と変わらないでしょう。
それから、着付けで雰囲気がずいぶん変わるんですよ。これはおもしろいと思いませんか?このポスターに入っている言葉の中では、「帯の位置」だけですね。
 若い人は帯を高めに締めます。つまり、帯を高めに締めると若々しく見えるともいえますが、全体の雰囲気とマッチしないとちょっと違和感があるということになるかもしれません。これは、きっとバストの位置の変化が関係しているのだと思います。納得でしょう?そして、着物姿で一番目立つのは衿元ではないでしょうか。衿の合わせ方や、半衿の出し加減でずいぶん感じが変わるものです。 それから、衣紋の抜き具合もアートのポイントかもしれませんね。



このごろ、面白いと思うのは、、、、、
 理想とされる着付けを想いながら、浮世絵や昔の美人画を比べてみることです。ここから、新しいきものアートが生まれるかもしれません。季節感やTPOを考えて着物の柄や色合いをコーディネイトするのもアートですよね。柄もまた、知れば知るほど面白いんですよ。季節をちょっと先取りして楽しむというルールがあるようですが、例えば暑い夏、少しでも涼しさを演出するために雪をデザインしたものを使ってみたり、蜘蛛の巣の意匠はよい鴨がひっかかりますようにと、花柳界の女性が好んだとか・・・
松江にてお話を聴いていただきました

 もし、そんな事を知らなくても、「今日の私はこういう気持ちでこれを選んだのよ。」という、それが楽しいでしょう?
銀座で知り合った着物好きの人達は、イベントのテーマにあわせて、顔料でデザインを手描きしたりして、オリジナルを作ったり、古着のシミを隠すようにセンスよくパッチワークしてみたり、本当に自由に上手に着物を楽しむ才能に溢れる人達が集まっています。遊びも本気でやるのよ。と教えてくれました。
松江のきもの都(まち)プロジェクトの方たちとの出会いもありました。着物を通して、世界が広がることも楽しみの一つです。


*ハノイにてファッションショウ
ハノイにてファッションショウ 撮影:西澤智子

2007年にはベトナムにご縁がありました。
 日本の民族服である着物とベトナムの民族服の一つアオザイの交流ファッションショーを開く事ができた事は今でも夢のようです。 1月はハノイ、8月はホイアンの2回、そのような機会に恵まれ、どちらもとても喜んでいただきました。準備の段階からたくさんの人に支えられ、充実した、本当に感謝な出来事の一つでした。
 ハノイ大学、ダナン大学の学生達と一緒に活動したのですが、着物への関心の高さに感激しました。 アオザイをつくるベトナムシルクで着物を仕立ててみたら、着物ドレスみたいです。これで、またコーディネイトの幅が広がりますね。私の感覚だと、和裁をならった経験もあるにはあるのですが、洋服はデザインが1枚1枚違うのに、着物は成り立ちが同じで、ほとんど直線に縫うので、洋服よりは縫うのが絶対に簡単なはずだと思っています。

 着物は難しいと洗脳されてしまっているのは、とても残念な事です。もちろん微妙な職人技は簡単には真似できないでしょう。でも、そこそこのものならそれほど難しく考えなくてもいいのにと思います。子どもの頃、運転できるお父さんは、ものすごく偉いと思いませんでしたか?そして、今運転できるようになったあなたはどう思いますか?和裁も着付けも、やってみようと思えばやれる、そう思います。

*ハノイ大学の学生達と交流
ハノイ大学の学生達と交流

着物って、楽しい!!
 
始めは私には手が届かないと思っていた着物が、こんなに身近になったのです。この楽しさを、少しでも多くの人に知って欲しいと思っています。
ベトナムでの体験から考えると、学校への着物(あるいは外国の民族服も含めて)のファッションショーの出前なんかは是非近い将来やりたい事の一つです。今すぐに着物が着られるようにならなくても、着物を着て嬉しかった。楽しかったという体験をぜひ早い時期にしてもらいたいと思っています。ファッションショーを一緒につくり上げるところからやれたら、尚嬉しいですね。 

 家の箪笥を開けてもらって、昔お父さん、お母さん、おじいさん、おばあさんが着ていた着物を眺める機会を持ってもらえたら、それだけですばらしいと思います。さらに、その着物を着てみたらどんな気持ちになるでしょうか。その着物にまつわるお話や、着てみた気持ちを作文に書いてもらって集めたら、素敵な文集ができそうですね。 ショーをするには、プロデューサー、ナレーター、音楽を選んだり、演出家、着物のコーディネイターや、ヘア、メイク、着付け、舞台の設営などたくさんの力を合わせなければなりません。それぞれが得意なところを受け持ち、それぞれの良さを確認し、発揮してもらいます。自分を表現するという経験につながると思います。外国からの転校生がいたとしたら、その国の民族服を入れてみるとか、習った英語を使って着物を紹介してみるなどという事をしたら、総合学習に最適じゃないでしょうか。

 さらに、もし、着物の勉強を進めると、着物をほどけば8枚の長方形の布になり、洗い張りをして、膝などの痛みの来易いところの場所を変えながら、何度も仕立て直しが利き、また、その布を大切に工夫して使いきったものであるという事などを知れば、ものを大切にする心や環境問題についての学びに繋がりますね。

ハノイの観客 撮影:普後邦夫

 ここまで学校でやるのは、無理だとしても、日本人としてもう少し着物が身近になってくれることを望んでいます。 難しいと思われている着物のルールの中に日本人の心が見つかるかもしれません。礼装ばかりが着物ではなく、普段着のカジュアルな着物は洋服感覚で思い切って楽しんでみましょう。

 着物を着るあなたが「きものアーティスト」なんです。ほら、ワクワクしてきたでしょう?!
「お正月だし、この記事も読んだことだし、着物を着てみようかな。」そう思ったあなたはすばらしい!! いざ着てみようと思ったけど困ってしまった人はご連絡ください。できる限りお手伝いさせていただきます。


【きものプロデューサー】すずき・ゆかり

すずき・ゆかり   ブログ http://blogs.yahoo.co.jp/kimono_noah/
 山形県山形市出身、放送大学在学。20歳の息子と12歳の娘を持つシングル。
ある本との出合いから、2005年1月「きものアトリエのあ」を立ち上げ、着付けや和裁教室を手始めに古着ガレッジセールやお直し教室、きものダンスパーティー、ほおずき市ツアーなどを企画。同年4月「きもの大好き会 和組」を結成。毎月第4土曜日に着物を着て集まろうと「きものdeおでかけ 山形散歩」を開始。「ニッポン全国きもの日和in山形」を3年に渡り主催した。

 2006年年末から2007年にかけて1ヶ月間ベトナムに滞在。1月にハノイVJCCを会場に「衣文化交流ファッションショー」を開催。そのことがきっかけで同年8月の日越交流のイベント「ホイアン祭り」で着物とアオザイのファッションショーを担当。 2008年4月13日異業種が手をつないで開催する「きもの・DE・やまがた」事務局長として、成功に向けて動き出した。

ポーセリンアート 松田満理 作 
シックな着物に、こんなフランス
模様の帯を作り締めてフランスに
行きたい。

私の活動のテーマは2つ。「大好きな事を仕事にしたい。」「きものを着る楽しさを伝えたい。」着物姿でフランスの街を歩く夢がある。フランス語を学び始めた私に、パリは逃げないからゆっくり進んで行きましょうと、ラテン語のことわざ“Fastina Lente”という言葉をプレゼントしてもらった。ゆっくり急げという意味だという。何事もそのように焦らないで着実に進んでいきたいと思っている。

【Webラジオ】「今田裕美子と話そう:まんじゃ〜れ」
※再生にはWindowsMediaPlayerが必要です。

[PR]